加齢黄斑変性症はiPS細胞で治る?|網膜再生の実用化に期待
加齢黄斑変性症でお悩みの方にとって、希望の光となる試みが行われました。
iPS細胞を使えば加齢黄斑変性症などの網膜の病気が治るかもしれません。
iPS細胞といえば、ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中教授が発表した論文で
日本国内でも有名になりましたのでご存知の方も多いと思います。
iPS細胞とはさまざまな組織や臓器の細胞に分化する能力を持っていて、
無限に増殖する性質がある多能性幹細胞です。
2014年9月にこのiPS細胞を使って
加齢黄斑変性症の治療を行う試みが行われました。
手術を受けたのは70代の女性のようですが、経過も順調のようです。
今回は滲出型の加齢黄斑変性症の患者さんで、
既存の方法では効果がなかった人です。
加齢黄斑変性は視野の一部がゆがんで見えたり、欠けて見えたりと
視界が悪く、危険で精神的ストレスも高くなる病気です。
iPS細胞で治療が進めば今後の網膜再生医療が多いに期待されますね。
加齢黄斑変性症になると新生血管が発生することで、
網膜や網膜色素上皮が傷ついてしまっています。
特に網膜色素上皮は視細胞のメンテナンスの役割があるため、
この細胞の再生が視細胞の変性を抑えるのに不可欠なのです。
今回の試みは、患者さん自身の皮膚からiPS細胞を作り、
それをもとにRPEシートを作って移植しようというものです。
iPS細胞を使った治療法の流れとしては
1.新生血管により視細胞や網膜組織が阻害されている部分が発生します。
2.新生血管や傷ついた網膜の組織を取り除きます。
3.患者さんのiPS細胞から作った網膜色素上皮(RPE)シートを
移植して再生させます。
加齢黄斑変性の治療法としてはレーザー療法が基本ですが、
病変が黄斑部の中央に近いとレーザー治療もできません。
最近は抗VEGF療法もおこなわれるようになりましたが、
全ての人に効果があるわけではありません。
しかも健康保険が適用外になる治療もあって
体の負担と費用面の負担が少なくないのが現状です。
iPS細胞で網膜が再生できたとしても、
体の負担や費用の負担が減るわけではないですが、
今まで治らなかった病変が治るというところに大きな期待がかかっています。
実用化に至るにはまだまだ時間がかかりますが、
実現すれば加齢黄斑変性症の治療が大きくかわるはず。
これからの研究や臨床経過に注目したいですね。
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